インキと鋼の物語 (2015)
150年前にヨーロッパで開発されたコロタイプ印刷技術のカラー印刷を世界で唯一扱っている工房が京都にある。山本修が率いる便利堂コロタイプ工房は宮内庁の依頼を元に巻物、絵画や書物などを後世に残せるよう文化財複製に携わっている。
「2012年にヨーロッパ最後のコロタイプ印刷工場の閉鎖について取材を行っていた私は、その後初めて訪れた京都便利堂の人々にそこが世界最後のカラーコロタイプ印刷業であることを伝えました。
鋼のように重厚で冷たい機械がやわらかで繊細なアートを紙に印刷してゆく工程に強い関心を覚えると同時に、ヨーロッパで生み出され諸外国では忘れ去られたコロタイプ技術がなぜ日本でのみ継承され続けているのか非常に不思議に思ったのがこの作品のきっかけでした。」